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*グリウル
『身体的15のお題』
(創作者さんに50未満のお題 様 http://box.usamimi.info/
7.唇

side*4

 探る獣の鼻先は、やがて人の形であった事を思い出す。嗅覚よりも触覚、触覚よりも知覚、次いで直感は、唇で触れる意味を知っていた。
 先に見留めた確固たる性感を差し置いてでも奴はこの胸の孔を埋め、階級を浚う方を優先する。
「ここには疾うに力の差など存在せぬものを」
 仔猫の毛並みへ口付けをした。
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*グリウル
『身体的15のお題』
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6.瞳

side*6

 早々に気を遣ってしまいそうな我が身を悟られるのが面映ゆくて仕方なかったのだ。
 どこか愉しげな碧から逃げるように、白い衣服と肌の隙間へ鼻先を埋める。再びその爪先が悪戯を仕掛けぬよう抱え上げると、下腹を押し返す存在に気が付いた。
「何だ、同じじゃねえか」
 今更獲物が跳ねた所で逃げ道は無い。
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*グリウル
『身体的15のお題』
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5.つま先

side*4

 軽く袖を引いただけだったが、滑稽なほど大人しく付き従う奴の姿が愛らしい。
 誘い込んだ敷布に埋もれる頃には既に、邪魔な靴など放り投げられていた。熱く兆した色欲を裸足の爪先で擽るや否や「やめろ」と唸る獣の牙に喉笛を拘束されるものの、それは形ばかりの甘噛みである。
 漸くお預けを解く時間だ。
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*グリウル
『身体的15のお題』
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4.背中

side*6

 背を這い上がるのは膨らみ続ける期待と興奮だ。口付けで温めた肌はミルクのように甘い。詰襟へ犬歯を引っ掛けたが、喉笛の振動に阻止されてしまった。
「お前とて隈無く見られる方が良いだろう?」
 発せられた声は艶やかに寝台を示し、淑やかな指先が捲り上げた袖を引き、揺らぐ碧の瞳が魔法をかけた。
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*グリウル
『身体的15のお題』
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3.首

side*4

 頸椎を覆う掌が血を滾らせている。同時にかち合う視線は好機だ。空色の襟足ごと両腕を絡めてやると、手遊びなど忽ち飽きてしまうものである。やがて降る口付けから牙は隠されているが、時折視界の端で煌く様は次第に速くなる鼓動と比例する。
 夢とは沈み続ける方が良い。空はいつしか海と反転していた。
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*グリウル
『身体的15のお題』
(創作者さんに50未満のお題 様 http://box.usamimi.info/
2.髪

side*6

 一見冷たいと感じさせる白磁の唇を暴く時、その実態は俺と変わりないものだと解る。敢えて貌から視線を外し、指先の感覚だけで様子を窺っていた。浮き沈みを繰り返す肩甲骨が、まるで前戯へ差し掛かったような錯覚を与える。捉えた後ろ髪ごとその身を抱え上げるや否や、先を乞う碧が心臓を射抜いた。
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*グリウル
『身体的15のお題』
(創作者さんに50未満のお題 様 http://box.usamimi.info/
お題セット一括りでほんのり繋がる感じにしたい

1.指

side*4

 温かな指先が俺の唇へ触れる。口付けで塞がれるより先に態と咥えて動きを封じてやるが、奴はそれさえも自らの愉しみに変えてしまうらしい。
 二本、三本と侵入する指が口腔で遊び始めた。いつしか対の掌は、口付けの最中のように俺の頸椎を拘束している。
 青空を仰ぐ頃、砕かれた腰に気が付くことだろう。
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*グリウル
『恋愛五十音のお題』
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ん/「ん…っ」

side*6

淑やかに零れた吐息には、小さく艶やかな声が溶け込んでいる。指先で触れる度に白磁器の肌が血を通わせていく様は、過去から現在まで愛でた場所を全て憶えているかのようだ。「まだお前の体温が足りん」手に限らず、もっと近付けと奴が誘う。満を持して重ね合わせた唇は貪欲に、色事の始まりを告げた。畳む


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*グリウル
『恋愛五十音のお題』
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拘束イメージは四十八手から「理非知らず」みたいな感じ

わ/輪の束縛
side*6

白い脹脛と手首を括ったのはベルトに似た拘束具だが、所詮は人間の為に作られたものである。「"クアトロ"は斃せたか?」思いのほか乗り気らしい奴が揶揄うように口元を綻ばせた。「てめえが引き千切らなけりゃな」持ち上げた両脚を潜り、馨る急所を狙う。途端に零れた声は格別の淫靡さを纏っていた。畳む


を/ヲトメ
side*4

閨事での拘束具とは自ら外してはならない。括られた両手が震えている事に気付いたのは、温かな掌で包まれた時だった。「寂しくなって来ちまった」征服する為の道具に似合わぬ初々しい言葉が耳を擽る。「一度達してからだ。それから外してくれ」その手が必要だと握り返した途端、下腹は熱で満たされた。畳む


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*グリウル
『恋愛五十音のお題』
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ろ/牢獄

side*4

虚圏とは傍から見れば悪霊が迷い込む牢獄のような所だろう。それでも生まれ、生きた記憶はこの場所だけであり、生前が何者だったかなど今となってはどうでも良い事だ。ふと重苦しい扉のように黒腔が開くと、虚圏には無い青空が帰還する。「お、ラッキー(スエルテ)」その色は現世よりも鮮やかで、故郷に相応しい。畳む


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