褥の主
「てめえはどれだけ俺のこと知ってる?」
沸騰したような血液がぐるりと頭蓋をかけ廻った。遠く、近く、繰り返していることだが、鮮明なままの記憶をわざとくすぐる彼の言葉にくらくらとしてしまう。顔から火が出そうだ。自分でも何を今更と思うのだけれど、「もうしわけございません」などと、何ともたどたどしく情けない声が漏れてしまった。しかしながら主はそんな僕の様子を見ていかにも愉しげである。狼狽える僕の頬を大きな手が捉え、そうして囁かれた科白は、いつものようにとても野蛮で、蕩けるように甘やかに響いた。
金のブレスレットが、しゃんと鳴ったとき。重ねた手のひらは素肌で、貴方が暫しのあいだ僕のものになることを許すとき。
褥の主
ノイトラ様には時に艶っぽく誘って頂きたい