ほぼ日刊グリウルSS*2021/04
*R18要素有りお題をお借りし(https://shindanmaker.com/780366より)1日1本ずつピクログに上げていた140字SSの4月まとめです
side*4
【隙間から滑るように / 敏感なところ】
孔を衣服で塞ぐのは多少の息苦しさがあるため、死神の主の前以外では襟元を緩めることが多い。それをしめたとばかりに、大きな手が隙間から滑るように侵入する。階級を掌に収めたその先で、指先が擽った敏感なところ。不意に漏れた声は厚い胸板に掻き消され、情欲を抑えきれない豹が舌舐めずりをした。
【ごしごし / はじめてだった】
整髪剤をごしごしと擦り付けて、空色の髪を纏めつつ立たせる。それは見様見真似で手に取るのも初めてだが、再現できる程度には記憶している。「てめえは変えねえのか?」肩越しに俺の髪に触れた。「不要だ」不服そうな奴を尻目に、その指に梳かれることが心地良いからという理由は胸の内に潜めておく。
【ハダカよりも魅力的な / 好きだと言うまで帰さない!】
無駄のないすらりと美しい肉食獣のシルエットは、無闇に肌を見せるよりも魅力的だ。その姿に釣り合うようにと、奴を天蓋の上へ誘う。好きだと言うまで帰さない。翼の帳を下ろして獣を捕らえたが、返ってきたのは狂おしい程の愛の言葉。ではもう一つの姿も愛してくれるか。応えた白い尾が黒に絡まった。
【やんちゃ / 呼吸がはずめば】
その手に引かれて現世まで。人から姿が見えないぶん多少やんちゃをしても構わないだろう。黒腔を抜けた途端に広がった澄み渡る青空は先を疾るセスタとよく似ている。同じ色の水飛沫と共に奴の呼吸が弾めば、見ている此方まで清々しい気分だ。丈の短い上着が、不意に強く吹き抜けた春風にはためいた。
【ひとりじゃできない / ハンドクリーム】
果てた先は大きな掌。ハンドクリームを塗りたくったように汚してしまう。奴はその体液の様子を窺って、普段は処理しないのかと問うてきた。「お前が居るからな。ひとりでは不可能なことだ」そう答えると、どうもこちらとは別の意味に捉えたらしい。いつでも、と興奮冷めやらぬままキスを寄越した。
【またしたくなった? / 舌が求める】
時に口付けは解けない魔法。しっとりと絡む舌が求める儘に、花開く甘い夢の水底へ溺れて沈む。心地良い倦怠感を纏ってゆるりと目蓋を開くと、彼方の空色と此方の碧色が重なった。目配せで読んだ互いの意思は同じで、何方ともなく再び唇を重ね合わせる。天の月が、その僅かな隙間を埋めるように翳った。
【未熟なもので。 / 甘い闇】
第二階層への解放を成功させたものの、霊圧と力の均衡を保てない現状は如何せん未熟なもので。繰り返す実験の中、ある時セスタが興味を持った。強い霊圧にも耐え得るよう、この姿に近付きたいと云う。それならばと口移しで渡したのは甘い闇の欠片。多少楽になるだろう。ふたりの間に絶望は要らない。
【浴衣でGO! / 熱い舌】
死神の権力者達によって作られた慰安用の湯屋は、彼らの出身地を思わせる和を重んじた設計である。備え付けの浴衣に身を包み、和食を馳走になる。酒が入って気を良くしたセスタは俺を腕の中に収め更に上機嫌だ。「料理はもう良いのか?」「次はてめえが欲しい」アルコールを纏う熱い舌が、唇を奪った。
ほぼ日刊グリウルSS*2021/04
2021/05/05
4月の中頃から始めたので本数少なめ