ほぼ日刊グリウルSS*2021/04
*R18要素有りお題をお借りし(https://shindanmaker.com/780366より)1日1本ずつピクログに上げていた140字SSの4月まとめです
side*6
【ここからならよく見えますよ / 泡にまみれる】
一人用に設えられた浴室は狭苦しいが、身を寄せ合えるこの空間が嫌いではない。泡にまみれた陶磁器の肌が透けて美しい。「少し離れろ。洗えんだろう」「俺がしてやるよ。ここからならよく見えるぜ」悪戯に内腿を撫でてみたが、甲を抓られる。「湯浴みの後でな」誘惑が浴室の壁を伝い、脳まで反響した。
【しびれそう / 溢れてつたって】
涙が溢れて伝うような仮面紋だが、奴は生まれてこのかた泣いたことは無いと云う。「…強いて言えば、お前に抱かれる時くらいか」少し考える素振りを見せた後の言葉が甘く響いて痺れそうだ。その原理が眼球を抜いても分からないと云うから、可笑しくて此方まで涙が出た。人間に近いつくりも悪くはない。
【勝手に動いて優しく誉めて / こっち、見て?】
その姿は百閉。腰が勝手に動く様を見守る。体内で擦れ合う程に息が上がって、髄まで蕩けそうだ。それでも、じっとしているのは性に合わない。「先にイッちまいそうだ」白い身体をシーツに縫い付けて、整わない息のまま囁く。「こっち、見ろよ」碧の水面が俺を映すと、込み上げる感情をキスに託した。
【カラダに悪いこと、いっぱい / 待つのはヤだ】
この身体には生傷が絶えない。自身の血を流しても不快なだけだが、治るのを待つのは煩わしい。「てめえは良いよなあ、超速再生」「選択肢があったとて、お前は戦闘能力しか取らんだろう」奴が傷口の包帯を固く結んで完了を告げる。痛みの上にそっと触れた白い手がひやりと心地良く、ごねる口を噤んだ。
【もうすぐ朝が来る / 寝てる隙に】 目を覚ますと世界はまだ静かで、太陽があるならば夜明け前といった所か。傍らには寝息がひとつ。黒髪を梳いて掛布を直してやる。人の姿を与えられてから、時のリズムに従う方が生活し易いと感じるようになった。時計を見る限りではもうすぐ朝が来る。奴が寝ている隙に二人分の紅茶を淹れることにした。
【試してみようか / ここにちょうだい】
「ここに、」俺の手を取り触れさせたのは、熱を押し入れたばかりの下腹。堪らず白磁の脚を割って内部を探り始めると、熟れた唇が不意に耳元を擽った。「精を零さず達するよう当ててみろ」品のない挑発は、この上なく甘い誘惑だ。「上等だぜ」幾度となく重ね知り尽くしたその身体、試すまでもない。
ほぼ日刊グリウルSS*2021/04
2021/05/05
4月の中頃から始めたので本数少なめ