ほぼ日刊グリウルSS*2021/08
*R18要素有りお題をお借りし(https://shindanmaker.com/447736より)1日1本ずつピクログに上げていた140字SSの8月まとめです
side*6
【異物挿入】
体内に埋めた小さな玩具が、振動と共にその身を愛らしく震わせた。逃げられぬよう抱き締めた腕の中で、しっとりと汗ばんだ白磁の掌が胸板に縋る。「これは、いつまで…」「てめえがイくまでだ」綻ぶ菊門から玩具ごと指を押し込んで、甘やかに果てる身と溶けた悲鳴までも喰らい尽くすようにキスをした。
【さりげない優しさ】
階級が示す通り、奴もそれに見合う力を備え持つ。そんな恋人を抱くのだから時に傷の一つや二つ拵えても不思議ではないが、未だ嘗て傷付けられた事がない。奴は「力が抜けてしまう」と云う。しかし爪を立てる事も骨を軋ませる事もないそれがさりげない優しさに思えてこそばゆく、その痩身を掻き抱いた。
【叩きつける】
剣先を叩きつけると、削れた砂の中から花弁を重ねたような鉱石が現れる。その石は白く透き通った色をしていて、クアトロを想起させる佇まいに惹きつけられた。「デザートローズってェ代物らしい」奴が興味深く見つめるのは、過去の拠り所とよく似ているからだろう。その掌に乗せて、譲る意思を伝えた。
【いちばん奥まで】
帰刃の鉤爪では引き裂いてしまうため、長い衣の裾から舌先で侵入を図る。届く限りの体内を唾液が潤すほどに蕾は綻んで、跳ねる白磁の脚はしっとりと指に吸い付くよう。その熱がフェロモンの如く馨る頃、薄い翼の帳に覆われる。一番奥まで触れて欲しいと、奴が白い尾に頬を擦り寄せて艶やかに誘惑した。
【「そんなところまで」】
長い黒髪を食みながら、濡羽色の体毛を毛繕いでもするように手櫛で愛でる。燕尾の間からしなやかに伸びる尾が機嫌良く揺蕩うのが見えた。その動きに誘われ緩く握った手を付け根から毛並みに沿って滑らせると、途端に痩身が跳ね上がる。「っ、そんなところまで…」先の房にキスをして、柔く牙を立てた。
【酒に酔った勢いで】
蒸し暑い夜には雪冷えの酒が進む。冷たい口溶けの後に喉を焼きながら沁み渡るアルコールが堪らない。共に嗜む奴の白い頬は朱を刷いて、やけに艶っぽく見えるのは自分も酔いが回ってきたのだろうか。気怠い腕で衝動的に奴を押し倒す。うっとりと潤む碧に魅入られると、水底に落ちるように唇を合わせた。
【精一杯のおねだり】
その姿はつぶし駒掛け。反った白い身体はより美しく、獣のように覆い被さり貫かれた孔を背面から愛でる。それでも奴が、吐息の合間に声を振り絞るように云った。「お前の顔が、見えない」落ちた涙を咄嗟に拭えないことに気が付く。「悪りィ」握り直した掌と合わせ鏡の瞳が、蕩けそうなほど熱を増した。
【後戯】
名残惜しさを覚えながら繋がっていた身体を個に帰す。碧の水面は未だ余韻に揺れていて、呼吸の整わない身体を抱き寄せては静めるように背を摩った。そうして奴を腕枕に誘い込むと、胸板へ額が擦り寄せられたのを合図に黒髪を梳いてキスをする。共有する体温と穏やかな時間は、二人の元に睡魔を招いた。
【覚え込ませる】
肌を重ねるようになって暫くした頃、まだ抑えがちであった奴の声を聞きたい一心で刷り込みに似た愛撫を繰り返した事がある。体内の一点を抉る時に必ず唇を塞ぐのだ。その効果は今なお続いている。指先をその儘にキスを終えると、途端に上がる蕩けるような声は、俺の身体にも反射の興奮を覚え込ませた。
【まだ強がるの?】
上がる息は婀娜やかに、白磁の肌は艶やかに、吐き出せぬ熱を堪える程にその身は蜜漬けの果実の如く溶けて崩れてしまいそうだ。「まだ強がんのか?」「達するなと云ったのはお前だろう」そうだ、問うた言葉は本心の裏返しである。互いに拘束する手を解くと、溢れた熱が隙間を埋めるように混じり合った。
【服を着たまま】
奴の服は露出を抑えた作りだが、上衣と腰板の隙間に僅かな油断を感じてしまう。チラリと覗く白い肌に、溝に沿って指を滑らせた。強張る身体を抱き締めて、服と肌の間に忍び込ませた指先で腹筋を数えて遊ぶ。「、グリムジョー…」擽ったいだけではない艶が混じる声に誘われ、先に進むためのキスをした。
【「まだいっちゃだめ」】
「まだ達するなよ」慰める唇を一足早く退いて奴が云う。余裕なく揺れたであろう眦の仮面紋に口付けをして、黒い爪が待ち合わせの場所を指し示した。「ああ、今行くぜ」奴を寝台に転がすと、進入を図りながらその下腹に触れる。膨らむ期待を掌が読み取った向こう側で、待ち侘びて手招く鼓動を捕らえた。
【あなただけのもの】
月が満ちると共に開かれた黄金色の瞳に魅了された。白と黒の中で映える鮮色は、まるで満月を手にしたような気分にさせる。奴が瞬きをした刹那の隙をついて、目蓋に口付けをした。「そう慌てずとも、これはお前だけのものだ」瞳孔を開いたその月の陰影には、俺の姿だけがくっきりと映し出されていた。
【溺れてしまう】
この腕に抱かれる時、奴は溺れて沈むようだと云った。それは俺自身も同じく、その碧の瞳に魅入られ虜になってしまった。名を呼ぶ声は毒の如く脳を巡り、もう奴なしでは居られない。その身を抱き締めると、奴が「溺れてしまう」と少し不安気に零す。「俺もだ」二人笑って、沈みゆくように口付けをした。
(ウルキオラ目線【無抵抗】と繋がる話)
【教えてあげる】
魔物の姿では雄のそれが見当たらない。「体内にある。作りは水棲生物のようなものだ」教えられたその割れ目を指先で探ると、確かに奥へ仕舞われている。感覚は臓器に近いらしく、迫り出した先端に軽く触れるだけで翼は窄まり、跳ねた身体が肩口に凭れ掛かる。呼吸の合間に見えた牙が、艶かしく光った。
【とろとろ】
しっとりと重ね合わせた掌を白い指が柔らかく握り返した。始まりの口付けを終えると、零れ落ちそうなシロップの瞳がとろりと揺れる。ふたりの体温を混ぜて溶かした肌は蕩けるホイップクリームが甘く香り立つようだ。「何処から喰おうか?」「お前の好きなように」菓子は逃げないぞ、と奴が微笑った。
ほぼ日刊グリウルSS*2021/08
2021/09/01