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ほぼ日刊グリウルSS*2021/09

*R18要素有り
お題をお借りし(https://shindanmaker.com/447736より)1日1本ずつピクログに上げていた140字SSの9月まとめです

side*4


【ぜんぶ丸見え】
それは誤って茶を溢した後の事だった。濡れた服の上から奴が鼻を押し付けて、俺と茶葉の香が混じって至極美味そうだと云う。その犬歯がファスナーを引き、肉を喰らうように帯を抜き取った。狭いソファの上で、宛らメインディッシュのこの身が全て奴の眼前に晒される。待ち切れぬ垂涎の獣が牙を剥いた。


【前と後ろ】
キスの最中、奴の指先が体内へ侵入した。跳ねた腰は捉えられ、唇が胸元の孔を擽りながら下りていく。「今からそんな締めんなよ、入らなくなるだろ」懸念の言葉は上辺だけで、密着した唇から漏れる吐息には興奮の色が窺える。キスが熱を溜め込んだ先へ辿り着く頃、その指を再び締め上げてしまうだろう。


【白いものの散った肌】
微熱の残る白が散った肌を、柔らかな布で拭われているのに気付く。行為のあと少しの間、気を失っていたようだ。「グリムジョー?」「悪りィ、外にもやたら出しちまったからよ」情事と変わらぬ包み込むような手の動きが心地良く、今は身を任せる事にする。「後で湯浴みを」そう誘いながら、礼を伝えた。


【舌を入れる】
掛布の端から空色の髪がはみ出している。悪戯を仕掛けるように、布をずらして薄く開いた唇にキスをした。数秒の間を置いていびきが止まったかと思うと、刹那に後頭部が固定され仕返しの舌が口内を這い回る。「何かの褒美か?」「起きていたのなら無効だ」倒れ込んだ胸の上で、奴の唇を指先で遮った。


【喧嘩のあとの】
奴が派手に喧嘩をして帰って来た。些細な切っ掛けだったらしいが、相手がクイントと聞いて避ける術は無さそうだと溜息を吐く。「ノイトラは馬鹿だがお前も大概だな」頭に上った血を冷やすべく、言い訳を零す唇を指先で嗜める。「手当てをしてやる」そうして傷口を撫でると、膨れっ面が少し和らいだ。


【これ以上は無理】
何度繰り返したかなど忘れてしまった。夢見心地の儘、温かな奴の腕の中でこの身は揺蕩うようだ。ふと、この青空を失ってしまったらと不安が過ぎる。「これ以上は、もう」自身に芽生えた依存が恐ろしかったのだ。「こんな幸せは又と無えよ」眦から溢れた雫は唇で掬い取られ、間近の空がからりと笑った。


【奥深くに注ぐ】
蒼い長髪を掻き上げて奴が口付けを寄越すと、絡む白と黒の尾に力が籠もった。その間にもゆっくりと進入を続けていた切先が奥深くの内壁を突いたものだから、思わず息を詰めてしまう。同時にきつく搾った精が弾け、蒼のカーテンがさらりと月光を遮る。鎖された狭い世界で、呼吸さえ共有する心地だった。


【腕を縛る】
帯を結わえた簡単な手枷で、即席のイレギュラーを愉しむ。それは自ら拘束を解いてはならないシンプルなルールだ。しかし手の存在というものは存外重要で、口を押さえる事も奴の胸に縋る事も出来ぬ別の苦しさがある。耐えきれず白状すると、奴も物足りなかったのだと、真っ先に解いた俺の手を握った。


【ご奉仕】
始まりのキスは先端から順に。擽ったいと笑う奴の手が緩やかに髪を梳く。気を良くして口内で擦り始めると、集中する血流は瞬く間に熱く膨れ上がった。精を喉で受け止める頃、砕けてしまった俺の腰を引き寄せて奴が云う。「早く滅茶苦茶にしてえ」低く艶めくその声に、耳をも犯されるような心地だった。


【からだは正直】
未だ知らぬ切っ掛けがあるのだろうが、奴は時に前触れなく欲を剥き出しにする。回廊の途中、柱の陰へ追いやられ、口付けの嵐を受けていた。不測の事態に陥っても抱かれ慣れた身体は正直なもので、熱を蓄え始めた下腹に自嘲する。対策は情欲に流されてしまう前に。声色と甘言を以て、奴の誘導を試みた。
(グリムジョー目線【人の気配のある場所で】と繋がる話)


【犯し尽くす】
この身も心も犯し尽くしたいと奴が云った。野蛮な言葉とは打って変わって、詰襟を開く手はゆっくりと、長い衣の裾からキスをする唇は柔らかい。そうして燕尾の奥を掻き分けた切先は内壁を裂く事なく熱を与えた。奴が牙を掛けたのは心臓ではない。血液が溢れ出すように満ちたのは、孔の奥の見えぬ所だ。


【服を脱がせる】
丈の短い上着を肩から落とし、露わになった筋肉の凹凸を唇で愉しむ。口付けの痕は首筋から、貫くことなく鎖骨の窪みへ。奴が機嫌良く頭部の仮面を擽って、更に距離を詰めては腹筋を食む。左の掌が斜に刻まれた階級を捉えると同時に腹部の孔を吸うと、余裕を失いつつある奴の手が俺の顎を掬い上げた。


【唇で犯す】
奴は口を使って愛撫を施す事が好きらしい。仮面の角を柔く噛んでいたかと思えば、次は耳を食み、絡めた指先を吸う。奴の唇による印は神経を侵し、痕が消えてしまってもこの身に燻る火種を残す。体内まで撫でられているような感覚に狂わされ、口付けが全身に及ぶ頃にはすっかり力が抜けてしまっていた。


【「お願い、はやく」】
入念な準備を怠らぬ奴の指先が内壁を巧妙に掻いて、跳ねる身体を抑えられない。口を覆うことを許さぬキスは絶妙なタイミングで息継ぎを与え、その腕の中で只々喘ぐばかりだった。「お願いだ、早く」甘く溶かされて尚、溢れる感情は貪欲に奴を乞う。眦の仮面紋に唇を寄せると、乱れた呼吸が頬を撫でた。


【押さえつける】
任務から帰還した奴の腕には、未だ血の止まらぬ裂傷があった。空色の髪を振り乱した儘、苛立ちを纏う掌が止血の効率などお構いなしに傷口を押さえつけている。見兼ねてその腕に唇を寄せ、余分な血液を吸い取ってから一舐めする。少しばかりの治癒力がある唾液は、溢れる血と不機嫌を緩やかに鎮めた。
ほぼ日刊グリウルSS*2021/09

2021/10/01

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