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ほぼ日刊グリウルSS*2021/09

*R18要素有り
お題をお借りし(https://shindanmaker.com/447736より)1日1本ずつピクログに上げていた140字SSの9月まとめです

side*6


【明かりを消してよ】
長い衣を解いて白磁の脚に尾を絡めた。その肌は月光を吸収し、自身の夜目も手伝って仄かに明るく見える。「月明かりも要らねえな」「ならば隠してやろう」視界は白から黒へ。それでも大きく薄い翼は御簾の様に、飛膜が互いの表情を隠す事はない。擦れる爪先が尾に送る合図で、始まりのキスを交わした。


【騎乗位】
下腹に跨った奴の腰を両手で包む。薄い腹が上下して、まだ動かないでくれと吐息に炙られた唇が途切れ途切れに零した。白魚の指先が助けを求めるように腹筋を擽るが、それは情欲を煽り体内を圧迫してしまう。「次は俺の番だ」力が抜けて胸に倒れ込んだ奴の背をきつく抱いて、黒髪の隙間から耳を食んだ。


【こんなになってる】
奴は唐突にこの胸を射抜く。此方の我慢が利かなくなるのを知ってか知らずか、不意に距離を詰めては一回り小さな掌で肌に触れるのだ。「もう勃っているのか」布越しであるにも拘らず、白い指先に軽く触れられるだけでぞくりと髄が震える。「てめえの所為だ」そして鎮められるのもまた、奴だけである。


【「もっと」】
飽きることなく奴を抱く自らの姿は、恰も肉の一筋も残さず骨を噛み続ける獣のようだと思う。二人の身体は繋がった儘だ。白のシーツに溶けてしまいそうなほど熟れたその身を、再び角の先から味わう。気怠げな艶を纏う白魚の指先が甘えるように誘うと、空気に晒すことさえも惜しむ肌をぴたりと重ねた。


【卑猥な妄想】
奴の膝枕で暫く眠っていたようだ。目を覚ますと碧は目蓋に隠されていて、小さな寝息が聞こえる。身を起こして腕の中へ囲えば、その無防備な寝顔がまるで情事の後のようで、つい悪い手癖が階級の側の性感帯を探ってしまう。僅かに跳ねた肩と吐息に混じる寝言の嬌声は、背徳感を瞬く間に吹き飛ばした。


【いつもより乱暴に】
いつもより積極的な唇が「もっと」と誘う。揺れる碧の瞳に映されるだけで、まるで操られているかの如く身も心も虜になってしまう。逸る手と急いた唇でその身を貪り始めると、耳元に寄せた口付けと共に奴が囁く。「乱暴に喰らって見せろ」千切れた理性から湧き上がる愉悦は、牙を十二分に研ぎ澄ました。


【「俺のものだ」】
傷跡を舐めて癒やすように、胸の孔にキスをした。流れ落ちた感情の跡を舌で堰き止めると、麻痺した神経が回復するかの如くその身は敏感さを増していく。思わず上がった声を面映ゆく感じたのか、顔を隠そうとする白い手を遮る。「それも俺のもんだ」碧の水面は俺だけを映し、この腕の中で温かに溢れた。


【ぎりぎり】
頭部の左側を覆う仮面の際から、通る事が可能なぎりぎりの隙間を指先で撫でる。表面は頭骨だが、その間は関節を擽られているような感覚らしい。「お前はどうだ?」興味深げに距離を詰めた奴の白い指が右頬の牙の縁に触れる。「歯に近えな」そう答えると、笑みを浮かべた唇が仮面越しにキスを寄越した。


【愛を乞う】
手を替え品を替えささめき合う言の葉は、紅葉樹が散るように切なく鮮やかだ。擦り寄せる頬は朱を刷いて、熟れた果実の唇は口にするたび糖度を増していく。全てが紅く色付くふたりの世界で、若葉色に揺れる瞳は貪欲に愛を乞う。雪の肌に残した痕が消えてしまっても、奥深くへ埋めた種は奴だけのものだ。


【人の気配のある場所で】
その唇が仄かに笑みを零す時、独占欲に飲まれてしまう。それはたとえ虚夜宮の回廊であってもだ。下級の破面なら寄り付く事はないし、数字持ちなら陰に潜んで霊圧を消してしまえば良い。そう考えていた矢先に、口付けの合間を縫って奴が囁く。「閨で続きを」碧の瞳がこの身を操るかの如く妖しく揺れた。
(ウルキオラ目線【からだは正直】と繋がる話)


【気を失う】
下腹を満たした後にゆるりと切先を引き抜くと、奴は糸が切れた様に気を失ってしまった。汗で張り付いた黒髪を手櫛で整え、まだ乾ききらぬ涙を唇で拭う。穏やかな寝顔に安堵したが、微かに後悔の念が残る。「酷くしちまった」「そうでもないぞ」独り言への返事に驚いた隙を突いて、奴がキスを寄越した。


【「ちょっとだけ」】
現世での任務は予定より早く完了し、まだ指定の時刻まで余裕がある。黒腔を開きかけた白い手を引いて、少しだけ遊んで行こうと提案した。金木犀の香る民家を抜け、紅葉するコキアの畑を横切り、秋桜の高台へ駆け上がる。暖色で賑わう世界に訪れた燃えるような夕焼けが、白磁の肌をほんのり紅く染めた。


【「この変態!」】
奴が俺を猫扱いするものだから、オクターバを脅して猫耳が生える薬をぶん取って来た。キスに紛れてカプセルを飲ませれば、即席の黒猫が完成する。「グリムジョー、お前は変態だったのか」「どうとでも言え」薬効が切れるまで、にゃあにゃあ鳴かせてやる。喉を擽り垂れた獣の耳へ、揚々と噛み付いた。


【もどかしい】
奴が早朝の任務に障るからと、今夜取れる二人の時間は短い。ひと時でも共にと思っていたが、肌を重ねられないもどかしさを悟られてしまったらしい。不意に白い手が俺の帯を解き、想いの叶わぬ源を慰める。「続きは暫し取っておけ」精を飲み干した唇を引き寄せると、時間が許す限りキスの水底に溺れた。


【弱点、見つけた】
それは頬の仮面紋とよく似ている。貫かれた胸から零れ落ちたものを示すかの如く肌を染める軌跡に触れた。掬い上げるような気分で腹部から孔までをなぞると、金の瞳が揺れて、胸が詰まりそうだ、と奴が云う。「そんなら成功だ」孔の縁を食むと翼は窄まり、それに伴い上昇する間近の心拍数に耳を傾けた。
ほぼ日刊グリウルSS*2021/09

2021/10/01

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