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微エロな服と仕草で10題

*R18要素あり
お題をお借りし(TOY様より)ピクログで書き溜めた140字SSのまとめです
お題セットの順はそのまま、視点は都度表記しています


01 上着だけ
side*6

逸る口付けが、寝台まで辿り着くより先に足を止めてしまった。小柄な身体を抱き締めたまま燕尾の隙間から帯を解く。衣擦れの音は一枚、二枚、三枚。奴の腰が僅かに跳ねるが、捉えた唇はまだ解放しない。燕尾の奥をまさぐると、遮る物を失った下肢の昂りは直に、目視するまでもなく独占欲を満たすのだ。


02 犬耳&首輪
side*4

小さな垂れ耳の被り物に揃いの首輪が付いている。ディエスの十刃が現世でくすねて来たが、角のある仔犬には合わなかったらしい。物は試しと、遠巻きに望む空色の頭部と重ねた。「やはり立ち耳の方が似合うな」「何の話だよ?」鎖で繋がずとも奴が離れることは無く、帰刃特有の耳以上に足るものは無い。


03 手錠と足かせ
side*6

特殊な作りでない限り、拘束はされる側の意志に委ねられる。白い手首を後ろ手に、解いた帯で緩く縛った。捉えた両足から食むと、擦れる爪先は甚く淑やかだ。「足枷まで増えたようだ」とろりと揺れる碧が艶っぽく細められる。それは急激な恋しさを駆り立て、気付けば解放した奴の両手を握り締めていた。


04 風呂上がり
side*4

小雪の頃に操作された気温は一段と冬に近い。その日、柚子を加えた湯に浸かった事を奴の嗅覚は聡く見抜いた。「温けえし美味そうな匂いだ」襟足へ顔を埋めた奴が唾液を啜る。「肉なら再生が利く部位にしろ」「ンな勿体無え事するかよ」香は共に味わうものだと、湯上がり早々寝台へ転がされてしまった。


05 脱ぎかけ
side*6

甘く馨る吐息が首筋を撫でたかと思うと、背に回った白い手が脱ぎかけの上着を落とす。その身に夢中で、自身の衣服からすっかり気が逸れていた。「俺だけが無防備を晒していては不公平だ」奴は満足そうに、指先を背骨から腰の孔まで滑らせる。促された血流は直近の下肢にて、侵入した儘の体内で弾けた。


06 噛み跡
side*4

傷痕が残りやすい奴の鋼皮を決して喰い破るまいと思い定めていた。色事の最中であっても力を抑えることは容易いが、温かな唇が触れるたび案ずる必要など無かったと身に染みて知らされる。その口付けは筋肉を弛緩させ、髄から甘く痺れてしまう。細やかな悪足掻きは、右頬の牙を食む程度で精一杯だった。


07 唇に添えた指
side*6

口付けの小休止。鼻先が触れ合う程の隙間で、ひんやりとした白魚の指先が俺の唇をなぞる。「お前はいつでも温かいな」「熱くしろってんなら大歓迎だぜ」寒い季節でも汗をかくものだと、奴を抱き締めたまま毛布を増やした寝台へ転がった。「もう一度」その唇が紡ぐ言葉さえも、芯から温める燃料になる。


08 半泣きor泣き顔
side*4

奴がその身を以て俺を満たしていく時、魂の渇きは払拭される。たとえ一時的と雖も紛れも無い事実だ。溢れる感情の波を、奴は水辺の獣のように舌先で涙腺ごと掬う。「そんな顔してっと虐めたくなるじゃねえか」「ならばもっと満たしてみせろ」眦の仮面紋へ口付けを返すと、熱く潤む心は奴も同じだった。


09 うなじの見える角度
side*6

甘い苺の香りで目を覚ますと、奴は俺の上着を羽織って紅茶を啜っていた。「起きたか、少し待て」寝台の側には既に茶器が揃っている。その背には珍しい折れた襟と屈む頭部に合わせて流れた黒髪が、頸の白さを際立たせた。「いや、休憩はやめだ」狙いを定めたその場所は、どんなケーキよりも甘いだろう。


10 シーツを強く掴む
side*4

奴から見る俺の姿は宛ら発情期の兎だろう。熱いその舌が入念に解す間、俯せの頬を枕に預け、行き先を失った両の掌はシーツを強く掴んでいた。微かな寂寥感は奴も同じだったのかもしれない。刹那の暗転の後に視界は明るい肌で埋め尽くされる。膝の上から胸板へ触れると、奴が満足気に両手を握り返した。
微エロな服と仕草で10題

2022/12/15

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