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兎チックな10題×2 /その2(セクシー編)

*R18要素あり
お題をお借りし(TOY様より)ピクログで書き溜めた140字SSのまとめです
お題セットの順はそのまま、視点は都度表記しています


01 撫でるたびにピクリ、ピクリ
side*6

一羽の兎を捕えた。その身は白い月光に透け、黒い宵闇に溶け込む色を併せ持っている。擦り寄せたエナメル質から神経まで届くのは、性感に溺れゆく愛らしい反応だ。面映ゆく馨る源に誘われるまま黒く長い毛足の奥を鼻先で探る。脳は春霞で満ち、身も心も奴に夢中の俺こそが〝兎〟だったのかもしれない。


02 服から覗く白い肌
side*4

寝台までの道すがら、奴が俺の手を引く。次の瞬間には温かな腕の中へ囲われてしまうのだが、今日は加えて袖口の辺りを気にしている。「こう見ると手首ってェのはエロいもんだな」「ならば上衣は脱がずにおいてやろう」余興を提案すると、奴は人形のスカートを捲る少年のような指先を機嫌良く鳴らした。


03 こんな所で発情するな
side*6

宮を出る直前の事だ。「今日は少し暑いな」そう云って詰襟を緩めた奴の白い喉が無性に胸を掻き立て、反膜の匪でも放り込む要領で喉元からその身を捕らえる。「外出を決めたのはお前じゃないか」「悪りィな、気が変わっちまった」口付けをした喉笛は、盲目的な愛欲を許すかのように淑やかに息を飲んだ。


04 可愛い上にスゴいんです
side*4

色事の最中、奴の様子が豹変する事がある。それはまるで帰刃でもしたかのように、もしくは獣へ遡るような飢えた眼光だ。「そいつはまァ…名を呼ばれたと思ったら、搾り取るみてえに締めやがるから」どうもちぐはぐな言動が奴を振り回していたらしい。自戒しようと伝えたが、奴は慌てて首を横に振った。


05 微熱が僕にも移ってくる
side*6

白い肌と柔らかな体毛の所為だろうか。その魔物を抱き締めたまま愛でる時、二本の長い角が恰も愛らしい耳であるような錯覚を起こすのだ。〝耳〟は肋骨を擽れば跳ね、毛足の奥を撫でてやれば繊細に震え、燻る微熱が少しずつ上がっていく。愛おしさに〝耳〟を食んだ所で、角であることを漸く思い出した。


06 震える体にそそられて
side*4

死神の主の故郷に似せて操作された気候は丁度、三寒四温といった所だろう。甘雨が静かに地を濡らす、少々冷える夜だ。折悪く薄着に替えたばかりの奴は毛布に包まって、仔兎のように震えている。「ンな寒くなるとか聞いてねえし!」「暑くするのは得意だろう?」毛布を覗き込み、春へ誘う口付けをした。


07 あれからずっと火照りっぱなし
side*6

近頃妙な夢を見る。初めは白い衣が夜空を舞っていた。翌る日それは窓際へ影を落とした。次の夜には唇を奪われるが、微熱だけを残して去ってしまう。「そろそろ種明かしだ」鮮明な声で目を覚ますと、腹の上を占拠するのは馴染みの魔物だ。「てめえの所為だぞ」細腰を押さえ付け、今夜こそは逃がさない。


08 暴れられるほど捕まえたくなる
side*4

「兎とか、カラフルな卵とか!とっても可愛いんだよ」太陽の髪色をした女の、如何なる祭りも楽しむ精神を手本にするのも一興だ。譲り受けた兎耳のカチューシャを手に、逃げ回るセスタを追い詰める。「嫌だっつってんだろ!」「物は試しだ」断末魔の後に項垂れた耳が、癖になる愛嬌を醸し出していた。
(イースター)


09 耳をペロペロ
side*6

片角の仮面に隠された左耳を差し置いて右耳だけを愛でるのは少々惜しい。その仮面が半月状に頭部を覆う時、両手で包み込んでは擽る楽しみが増える。更に二本の角へ変わってしまえば、真っ直ぐに手櫛を通すことも、両耳を食むことも容易い。震える黒い翼が窄む頃、普段上手の魔物を誑かす絶好の機会だ。


10 本能が欲しがってる
side*4

充足感とは、一度きりの捕食より繰り返し味わえる方が良い。俺の髪を梳いていた指先が汗ばみ始めると、啜る唇へ濁酒が流れ込む。鼻を衝く馨りで酔いが回り、髄を駆け腰まで砕くようだ。しかし飲み干すより先に視界は青空を仰ぐ事となる。次に注ぐのはとっておきの器だと、奴の牙が艶めかしく煌めいた。

兎チックな10題×2 /その2(セクシー編)

2023/04/08

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