体のパーツで微エロな4×5題
*R18要素ありお題をお借りし(TOY様より)ピクログで書き溜めた140字SSのまとめです
お題セットの順はそのまま、視点は都度表記しています
手
01 胸元を撫でるside*6
奴の胸に甘えるには猫を演じるのが得策だ。額を擦り寄せながら詰襟を解き、現れる孔を唇で塞いでやると、奴はまんまと仔猫をあやすように俺の髪を撫でる。左胸の階級を指先で擽れば、間近の性感帯にまで触れてしまう。甘やかす飼い主が悪いのだ。跳ねる胸に態と気付かぬふりをして、猫の真似事は続く。
02 相手の首の後ろに腕を回す
side*4
空色の襟足を両腕で包み込むと、奴の顔は機嫌良く正面まで降りて来る。刹那に重なる視線が揃いの意思を交わし、二つの唇は言葉を発するより先に惹き付け合った。閉じた眼の暗闇では、甘く美しい夢を見る。ひと時の息継ぎで微睡みから覚めても、この身を抱く奴の手によって新たな夢へと運ばれるのだ。
03 ボタンを外す
side*6
摘むだけでチョコレートが溶けてしまう、早春の装いでは暑い季節だ。自らの毛皮は疾うに放り出したが、奴は涼しい顔で襟巻きと上着を着込んでいる。ふとその釦へ手を伸ばした理由は、気温とは真逆にある雪の肌が恋しくなったからだ。腹筋を探る銀の装飾の方が冷たいと、奴が指穴の袖口ごと掌を重ねた。
(第1回ベストバウト投票結果の扉絵衣装にて)
04 指をしゃぶり合う
side*4
オレンジの果肉と皮が混ぜ込まれた茶葉からは、程良い甘味と苦味が抽出される。「味を見てからにしろ」角砂糖を摘む奴の指を咄嗟に食んで阻止したが、二人の体温で解けていく様は口付けの余韻に似て悪くない。「そうか、もっと良いもんがあるじゃねえか」奴は名案とばかりに、俺の指へしゃぶり付いた。
05 服の中に手を入れる
side*6
足首までを覆う白い衣の裾がひらひらと目を奪った。軽やかなステップを受け止めるように、始まりの口付けは俺の胸で交わされる。撓る背に指先を伝わせながら目指すのは、その魅惑的な足元だ。腱を辿り膝窩を擽ると、爪先が慎ましく擦れ合う。解かれぬまま捲れ上がる裾が、奴の脚をより艶やかに見せた。
口
01 紅潮した顔で舌なめずりするside*4
先の戯れは唇にて、奴の身体を温めてやる。それは心臓から遠い場所であるにも拘らず強く脈打ち、此方の鼓動まで揺さぶる程だ。栗の花の香が喉から鼻へ回る頃、火照った掌が耳を擽る合図で顔を上げた。纏う青空に艶々と血の気を巡らせた頬が眩しい。舌舐めずりをする猛獣を、そろそろ庭へ招く時である。
02 キスマークをいくつもつける
side*6
その白磁器に色を付けようと、何度も唇を寄せた。しかし色絵の花の命は一瞬で、次を描く前に散ってしまう。「そう躍起にならずとも、下塗りとは見えなくなるものだ」奴は俺の不満を和らげるように口付けを寄越すと、黒い爪で自らの身体を指す。正確に辿る軌跡が、無駄ではなかったことを物語っていた。
03 ネクタイorたくし上げたシャツをくわえる
side*4
蒼い鬣を持つ肉食獣が俺の脚へ戯れ付く、どこか愛らしい様子に絆されてしまったのだ。長い衣の裾を咥えながら誘うようにたくし上げてやると、獣は忽ち目の色を変えた。濡れた牙が腿を這い上がり、狩りは一瞬にして行われる。搦め捕られた命が獣の喉を潤す代わりに、その唇は狂おしい程の熱を寄越した。
04 口から白いものを垂らす
side*6
茶会には甘い菓子が付き物だ。奴の指先が同じ色をしたクリームを掬い、これまた同じ色の唇を汚しながら味見をする。「そりゃ態とか?」「さあな」碧の視線だけを寄越しながら見え隠れする赤い舌が益々色事と重なって堪らない。「早く俺にも寄越せよ」ケーキなど敵わぬその存在を、強引に抱き寄せた。
05 糸を引くキス
side*4
霞のかかった視界でも奴の唇は明るく目を惹き、触れ合えば血液の温かさを分け与えた。繰り返す口付けに決して飽きる事は無い。舌が絡むほど代謝は促され、口腔から境界線が曖昧になっていく。きらきらと眩い一筋へ、繋がる蜘蛛の糸に執着する罪人の心地で両手を伸ばした。極楽の青空は全てを赦すのだ。
足
01 裸足の指を押しつけるside*6
靴の有無は印象をがらりと変える。掌に収まるその足にも黒い爪は健在で、そこから細く影を作る骨が胸を擽って堪らない。「まだ何もしていないぞ」奴はさも滑稽とばかりに、爪先で兆した劣情を捉える。「てめえこそ人のこと言えんのかよ」返礼は前進させた膝にて、途端に愛らしい声を上げた奴の負けだ。
02 膝の裏を舐める
side*4
奴がその身に纏うのものは、分厚い革とも硬い鎧とも思わせる固有の作りだ。肩から胸、腰から腿へ、滑らかな継ぎ目を辿るにつれ獣へ変わりゆく形が興味深い。鋭利な刃の間を掻い潜り、踵の上から口付けをする。「はは、擽ってえ」機嫌良く揺れる尾に捕らわれた瞬間、展翅は爪と牙により完成されていた。
03 両脚の間に体を挟む
side*6
現世では草木が生い茂る季節らしい。虚圏には無縁かと思いきや、今この腕に抱く奴が全てを持ち合わせている。二本の樹氷から割り入った奥の庭は春の暖かさで満ち、見つめた深い碧は陽の光を柔らかく通す木の葉のようである。番の鳩になった心地で口付けを交わせば、それはやがて恵みの雨を湛えるのだ。
(5月21日 小満)
04 ズボンorスカートを下ろされるのを抵抗する
side*4
奴の手により仕立て上げられた身体は、些細な切っ掛けで発熱する。根源の青空へ吸い込まれるように口付けをした。「てめえ、襲うんじゃねえよ」逸る意思の儘に帯を捉えるが、慌てふためく手に阻止されてしまう。「俺で勃つ所が見たいと言ってもか?」自らのことは棚に上げ、引き抜いた帯を放り投げた。
05 足の爪を切らせる
side*6
白い手に包み込まれた足がひんやりと心地良い。靴の中で擦れる不快感の元は、軽やかに響く音と共に消えていく。正確に切り揃える手元にじっと見入っていたが、続く規則的な音が次第に睡魔を招き始めた。「にゃあ」気が付くと俺は奴の膝へ寝転んでいて、揶揄うような鳴き真似と口付けが完了を告げた。
その他
01 ヘソを見せるor見るside*4
「何つうか、損したような気がするぜ」俺の下腹に触れながら、奴がぽつりと呟いた。確かに向かいの腹は孔によって臍ごと貫かれている。その縁を撫でてやるが、揃いでない事が不服らしい。「出生の名残が無いのなら、眷属はお前の自由だ」そう返してやると、奴ははっと気付いたように俺を抱き締めた。
02 首を伝う汗
side*6
激しい戦闘時でさえ奴が汗をかく所を見た事が無い。しかしそれは色事以外に限ったものである。臓器を直接擦り合わせる最中では湯を注いだ茶器と紛うばかりの熱を湛え、しっとりと手に馴染むようだ。ふと、玉の雫が白い首筋を伝っていくのが目に留まる。馨り立つ上等の茶を零すまいと、口付けで啜った。
03 胸に頭を乗せて寝る
side*4
奴の胸は居心地が良い。頭部を預けると、弾力のある胸筋と温かな心臓の音が忽ち睡魔を招いた。俺の髪を梳いては角を甘噛みする様子から、奴は甚く上機嫌らしい。今は甘えるというより枕に近い感覚であるが、口には出さずにおくことにした。やがて落ちる夢では、確かな青空が深層心理を映し出すだろう。
04 着衣のまま肩を見せる
side*6
閨では怠惰に過ごす贅沢が許されるものだ。眼を擦ると、奴が俺の上着に袖を通している。痩身には少し広い裑が上がりゆく途中で視線に気付かれてしまった。「お前の上着は楽で良いな」折れた襟が緩く肩に掛かる様は着崩した打掛に似て、思わず息を呑む。二度目の始まりは奴の口付けによって告げられた。
05 見えそうで見えない
side*4
虚夜宮の回廊は塵一つなく鏡のように磨き上げられている筈だ。「何か落ちているか?」「いいや」やけに床を気にしている様子のセスタは視線を泳がせたものの、それは程なくして俺の足許へ戻って来る。「やっぱ見えそうで見えねえな」「煩悩塗れだな」態と距離を詰めてやると、青の視線が漸く上がった。
体のパーツで微エロな4×5題
2023/06/20